先日ヤマダHDに衝撃の自社株買いがあったので状況を整理していきたいと思います。
今から買うか悩んでいる、または保有しているがどうしようか悩んでいる方の参考にもなればと思います。
5/6プレスリリース
ヤマダHDは5月6日にプレスリリースで自社株買いを発表しました。
1000億円の上限で自社株買いを発表しています。
期間は5月9日から1年間。
確実に上限までするか分かりませんが、相当大きな規模であることが伺えます。
ちなみにヤマダHDの時価総額は3,780億円。
22年3月末時点の発行済株式数が836,028,153株
今回の取得予定株式数は200,000,000株
全体の約24%にも及ぶ自社株買いとなっています。
自社株買いそのものでは企業の価値が上がることはありませんが、1株当たりの価値(株主価値)は上がることになりますね。
よって20%以上需給関係では株価が上がる可能性があるということになります。
ヤマダHDのB/S
自社株買いをすることはいいのですが、これだけの規模の自社株買いとなると本当に大丈夫なのか?なぜそこまでするのか?と考えてしまいます。
まずは財務状況を確認します。
YAMADA HLDGS IRより
資産の部で確認しておくべきことは現預金ですが、約570億円。
手元のお金だけでは1000億円の自社株買いは不可能となっています。
仮に売掛金・受取手形の約700億円を回収したとしてもギリギリですね。
しかし前期も同様に計上されていたのでこれは通常の営業サイクルで発生しているものと考えられます。
では負債純資産の部です
YAMADA HLDGS IRより
前期と大きく変動しているところはありませんが、長期借入金があります。
毎年返済していくものですが、流動負債の部に1年以内返済分が記載されています。
これが約500億円あります。
つまり借入の返済をした上で自社株買いをする必要が出てくることが考えられます。
この時点で自社株買いのために資金調達をする必要があるわけです。
資金調達の方法ですが、銀行借り入れor社債発行となるはずです。
新株発行は自社株買いをするのでする意味がないですからね。
なぜ自社株買いをするのか?
ではなぜここまでの自社株買いをするのかですが、
・株式の管理コスト、配当コストの削減
・事業への投資よりも自社株買いの方が有利と判断
このような理由が考えられるでしょう。
今回は資金調達をして自社株買いをすることになろうかと思いますが、
お金を借りてでもするメリットがあるということになります。
現在は1株18円を配当として出しています。
5月6日時点の株価は391円。
配当利回りとしては4.6%。
配当は基本的に減配したくはないでしょうし、4.6%は払う側として負担に感じるかもしれません
その上ヤマダHDは株主優待も実施しています。
安い株価で自社株買いを実行し、流通株式数を減らすことができれば低コストで配当の削減、優待の負担減少が可能になるわけです。
企業側としても現在の株価は割安と判断しての経営判断と考えられます。
問題はもう1点の問題です。
理想は事業投資をして事業を大きくしていけることです。
しかしそれよりも自社株買いの方が有利。事業拡大に自信がないのではないかと感じたのも事実です。
ここでヤマダHDが投下した資本に対してどれだけのリターンを上げているのかROICを確認してみます。
投下資本利益率(ROIC)は直近5年で概ね3~6%程度
この数値と自社株買いをした時の効果を考えた時に、確実にリターンが見える自社株買いが魅力に感じるかもしれません。
ROICが10%や20%ある企業であれば事業への投資を検討したくなるはずです。
株価
2022年5月6日時点
株価:391円
EPS(予想):62.1円
PER(予想):6.3倍
PBR(実績):0.5倍
時価総額:3,780億円
1株あたり配当(予想):18円
配当利回り:4.6%
トレーディングビューより引用
株価水準的に割安感が出ていることは確かです。
PBR基準で0.5倍というのは安いと判断されても仕方ないです。
業績を一定に維持していって減配しないのであれば配当利回り4%越えは悪くないと思います。
所感
今期はメインの電機事業がマイナス、住宅が伸びてますが、生活をトータルでサポートする体制でいく中で強力な武器を持って事業を伸ばしていって頂きたいものですね。
今回の発表はあまりにも自社株買いの規模が大きいと感じてしまいますが、株価として過小評価されていると企業側は考えたのでしょう。
個人的には保有している人はホールド、買うなら短中期目線で早めに入るかなという印象です。
長期的にはやや不安な銘柄ですが、100株で配当+優待を目的に持つのは悪くない銘柄というところですかね。
※本記事は特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資をする際は自己責任で投資判断をお願いします。
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